中年オヤジの自転車通勤コラムと女の子のイラストがあります。
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恋愛物語02

放課後の体育館。秋雨が少し降っていた。
日が短くなったのか、周りには誰もいなく只、カラスの鳴く声がかすかに響いていた。
都会の喧噪からは考えられないこの田舎町で、ずっと一緒だった。

この2人、篠崎哲夫と沢口育美は「てつにぃ」「さわ」と呼び捨てにする幼馴染みだ。
てつにぃは中学3年、さわは中学2年で1歳年が離れている。
小さい頃、哲夫は背が小さく、さわを見上げていた。

家は歩いて一時間掛かる。
自転車で通いたい所だが、あいにく校則で自転車通学は認められていない。
途中、山道というか林の中を歩くこともある。

大自然が身近にあっていいじゃないかと思うかもしれないが、けっこう大変なんだよ、これが・・・。
暗くて恐いし。幼稚園、小学校、中学校、高校と自宅がお隣で、登校も同じルートなんで、
さわのお母さんから小学生の頃、ボディガードになってねと冗談半分に言われた事があった。

その時、指きりげんまんの約束を笑いながらした。
ちっちゃい子供との約束って、大人はたわいもない約束事で、
さわのお母さんも多分覚えていないだろうけど、その時の僕は真剣だった。

大きくなってさわを守れる男になる。
大きくなるってどうしたらいいの?
嫌いな牛乳いっぱい飲んだ。

物置きにあった昔流行ったっていうぶらさがり健康器具をつかったけど、
腕が伸びたような気がしただけだった。
いろんな事試したりもした。

ある日、気付くと僕の身長はさわを追いこしていた。
丁度、中学になった頃だ。
時々、夜中に脚の関節が痛くなったりした。親の背を越えたのもこの頃だった。

さわにも変化があった。もちろん身長も伸びたんだが・・・・・
う~ん、なんというか、むむっ、胸が大きくなってきた。
ドキッとした。焦った。でも、ポーカーフェイスを決めこんだ。

そして、2年とちょっとが過ぎた。
僕は身長190センチの大柄なガタイを見込まれてバスケ部のレギュラーになった。
さわは野球が好きなんでソフトボール部のサードを守っている。

普段はバスケ部が体育館で練習をしていて、外ではソフトボール部がワイワイしているのだが、
今日に限ってテレビで滅多に観られないカードが組まれているんで早々に切り上げたようだった。
僕は当番で練習の片付けをしていた。

ちょっと手間取っている僕を見かねたさわは、
いつものように体育館に入って黙って片付けを手伝ってくれる。
そんなさわは意識しているのかいないのか、「てつにぃ そろそろ帰ろ?」と促す。

入り口を開けていたので風が入って来た。さわの汗の匂いがほのかに漂う。
「痛ッ、てつにぃ・・・痛いよ」ガシッとさわの腕を掴んでいた。
男の腕力で掴まれたら痛いわけだ。パッと手を離した。

『ゴメン、オレ・・つい・・』
「つい・・・何?」。
さわはクスッと笑って素直な瞳で僕を見ている。

男、哲夫、ここで決めなきゃ、男がすたるぞ。
離した手を今度は優しく髪の毛と腕に廻し、引き寄せる。
そして・・・

『・・・・好きだ。』
「・・・・・・・・」

一瞬、キョトンとする彼女。
でも、てつにぃの真剣な表情から状況が分かって来た。
それとともに力が抜けて体を預ける体勢になった。

「やっと言ってくれたね。」
さわはてつにぃの胸元で小さく呟いた。
「わたしも・・・」。

哲夫も体がフニャフニャになってしまった。
こちらもだらしない事に力が抜けたようだった。
へなへなと座り込む2人。

そして、照れ笑い、少しの沈黙の後、まず、最初の儀式が行われた。

帰り道、秋雨は止んでいた。
田んぼは刈り取りが終わり、天日干しのわらや川辺のすすきが雫を飛ばしキラキラと靡いている。
秋の夕暮れがこんなに綺麗だと思ったのはどうしてだろうか。

さわがおもむろに小指を出して来た。
???
『指きりげんまん!?』


「わたし、覚えてるよ、てつにぃの約束」
大人の階段を登る途中で忘れかけてしまう気持ち。
だから、もう一度約束しておこう。2人は一緒だと・・・



あとがき

どこかの町のどこかの学校のちいさな体育館であった出来事って感じです。
この男の子、哲夫は今回、タイミングとちょっとした勇気で告白できて、結果良かったわけですが、
タイミングって難しいですよね。

特に相手がサインだしているのに気付かない時、女の子はどこまで耐えられるのか?疑問です。
私も結構鈍感なほうなので、タイミング外して後悔してしまったことあります(笑)
この2人の物語はこれで終わり。

てつにぃは優しいから多分彼女は幸せになると思います。
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